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*塗田さんの旅行日記【女、一人旅・・・の巻】(2)

 親切な人もたくさんいました。
駅で地図を見ていたら、「Do you need help?」と、さり気なく聞いてくれる人が
とても多かったのです。ホームまで案内してくれたり。(ちなみに男性が多かったけど・・・。)
 「なんて親切なんだー!」と感動したけれど、
おそらく彼らにとってそれは、親切というより当たり前のことなんだろうなぁと思いました。

 さて、話は戻って、ローマからフィレンツェへ移動した私。
そこで重度のホームシックにかかった日本人男子学生と出会いました。

 彼は日本人(=私)を見つけるや否や「見つけたー!」という目をして近づいて来ました。
聞けば、医学部4回生で友達と初めての海外旅行に来て、
途中で別れて一人になって5日目とのこと。一人じゃレストランにも入りづらく、
5日間日本から持参のお菓子やテイクアウトのピザしか食べていないと言うのです。
FIX航空券なので帰国日を変更できず、帰りたくても帰れないのです。
 青白い顔で、「しばらく一緒にいさせて」と言うので、「まぁいいけど」と一緒にレストランに入って食事をすれば「あぁ〜まともな食事だー」と涙ぐむ始末。
「おいおい、大丈夫かい医学部生。勉強ばっかしてんじゃないよ。」と心の中でつぶやく私。
 でも、話すうちに次第に青白い顔に血色が戻ってきた感じです。
「もう少し一緒にいて」と懇願されたが、その時の私には時間の無駄に思い、即お断り。
彼の無事を祈ってお別れしました。

 日本に戻ったら、ご丁寧に礼状が届いていました。

 時は過ぎて2年後。
自宅に白衣姿の立派な青年の写真が送られてきました。
そう、あの時の青白い顔をしたホームシック医学部生の彼でした。
晴れて内科医になったということです。

 そして・・・よくあるパターン。
 「その彼が今の私の主人です」・・・でないのが残念!